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そうだったのね、慰安婦問題!

いろんな風説入り乱れ、何がなにやらわからん感じの慰安婦問題。天才鳥類フォーゲル教授がこの問題の勘所を、人間の頭でもわかるよう解説したまとめです。

更新日: 2020年05月23日

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慰安婦像の形成

「慰安婦問題を政治・外交問題にするべきでない」たって、それは安倍政権だけの都合だ。慰安婦像ができたから政治問題になるのではなく、日本政府が口先ばかりの謝罪(の真似事)で誤魔化そうとするから政治問題に発展し、慰安婦像ができたのである。

さて、慰安婦像の話の続き。 サンケイの報道では、慰安婦像のせいで現地在住の日本人の子がいじめに遇ったというが。そういえば福一原発事故の当初も、「東電社員の子がいじめられてる」などとありそうもない、加害者と被害者を入れ替えたい魂胆がまる見えのデマが流れたものだ。それとよく似ている。

相反するのは、慰安婦像は福島第一のように都合よく隠蔽できない場所にあることか。

ちなみに。慰安婦像撤去の訴訟を起こした在米日本人というのが、「歴史の真実を求める世界連合会」なる名称からしていかにも怪しげな組織。案の定、裏には「つくる会」の藤岡信勝や「なでしこアクション」の山本優美子らがいる。悪名高い「歴史事実委員会」の別働隊みたいなものではないかと。

思い当たったが。なでしこアクションとか日本軍の名誉のため慰安婦像を撤去させようとする輩は、海外ではまさにこのタリバンとおなじ、邪魔者だからと少女を殺して片付けようとしたテロリストとおなじに見られてるわけだ。極右団体があがけばあがくほど、日本軍の犯罪性を宣伝するだけなのだ。#慰安婦

タリバンに銃撃された少女、国連で演説
http://www.afpbb.com/article/life-clture/life/2955608/11034543
16歳でこんな誕生日を迎えた女性なんて、そうはいない。

「従軍慰安婦=性奴隷」という認識がかくも国際社会で浸透したのは、ずばり第二次大戦での日本軍に因果がある。数々の行為によって欧米人たちに「あの軍隊ならどんな非道な真似でもやる」との強烈な思い込みを抱かせたからこそ、元慰安婦らの悲惨な体験談とあいまって今日の慰安婦像が形成されたのだ。

「兵奴隷」という概念

かねがね思っているが、今日の基準ではあきらかな「奴隷兵」として遇され死んでいった日本の兵隊と彼らに肉体を供され辛酸を味わった女性たちには、誰かが、何らかのかたちで、国を代表して歴史的謝罪をおこなわねばならないだろう。それは日本国民が人権意識の点で成熟したことの証ともなる。

アメリカが日系人の強制収容を罪と認め、昔の奴隷制度を非難する決議をおこなったように、日本も戦時下に国民を苦しめた大日本帝国の体制を非難し、二度と国民の奴隷化を繰り返さぬよう誓約する決議を成立させるべきなのだが。 あいにく、その逆の内容の決議が成立しかねないのが今の日本なのである。

いや、慰安婦は鞭打たれ鎖で縛られたわけじゃない、借財を返せば家にも帰れた、多くの点で自由が認められており、奴隷とは呼べない。
そんな風に言い返すとしたら、奴隷の定義というものをまるでご存じない証だろう。

ローマ時代の奴隷にさえ外出が許されたし買い物もできた。なぜなら逃げても捕まるし、他に生きる手立てもなかったから。奴隷の中には少数ながら、財をたくわえ自由民の資格を買い取った者もいるが、これも伝えられる慰安婦の境遇とさして変わらない。
違うのは、慰安婦らはローマ期から2000年も後に、アジア解放と称してアジアを占領する軍隊に管轄されていたことである。

まさにそこが「日本軍性奴隷制度」として、問題になっているところだ。


「安倍総理、慰安婦連行を「人身売買」と呼ぶ」
(戦争を語るブログ)
http://blog.livedoor.jp/manfor/archives/51994828.html

大日本帝国が日本人男子を「兵奴隷」、日本を含むアジア全域の女性を「性奴隷」として扱ったことに対し、その人道的犯罪性を今の政府が糾弾すれば、問題は一気に解決とはいかなくても、日本は慰安婦問題で非難される側ではなく非難する側に身をおくことが出来、日本国家の名誉も保たれるだろう。

これはドイツがナチスを、正常なドイツから切り離した存在として批判するのと同じで、おそろしく合理的な解決策だ。しかもドイツはナチズムに国が支配されたことの責任は否定しない。そうした認識に立ちドイツがナチズムを排除し続けるかぎり、西側と周辺諸国の信頼は強まっていく。日本も同様である。

それが出来ず、糞の役にも立たない大日本帝国の名誉の回復を、戦後の人々が苦労して築き上げた今の日本に対する国際社会の信頼と引き替えにしようとするところに安倍政権を支える勢力の異常さがひしひしと……彼らは本当にこの国を亡国に追いやりかねない。

「日本兵が奴隷兵だった」と言うと怒る人がいる。
「強制ではない。戦時中の人はみなが自分の意思で、御国のためを思い、戦って死んだ」というわけだ。

実際、そのとおりだったろう。皇国の臣民は表向きは悦んで奉仕した。そうやって自発的に身を投げ出すからこそ、まさに奴隷なのである。
「新自由主義史観」のように、奴隷が主に身を捧げる前近代的忠義を一個人、一市民としての自発的意思と混同するのは、人間性に対する冒涜にほかならない。

だいたい当時の人が自分の境遇をどう感じていたかというのはあまり意味がない。

アメリカ南部の黒人奴隷も南北戦争までは、自分たちの身分を当たり前のものとして受け入れていた。奴隷の暮らしは悪いものではない。『アンクル・トムの小屋』で描かれたのは嘘っぱちだ。裕福な屋敷に仕える黒人などは他家の貧乏白人を馬鹿にしたし、奴隷解放のため戦う北軍をヤンキーと罵りさえした。

だからといって南北戦争への史的認識が変わるわけじゃないし、今日そうしたことから南部の奴隷制度が正しいものだったと考える者は誰もいない。
日本の軍制度についても同様なのだが、どうしたわけか日本人の間ではいまだに「温情的だった」という勘違いがまかり通ったりもする。

兵隊は訓練で人を成型したものなので個々の身では人情や思いやりを示すのは当然にせよ、大日本帝国の軍制度については南部の奴隷制度以上に温情的なものではなかったのが実情なのである。
まあ、いまなお精神構造が奴隷のままな人は旧時代の価値観でしか物事を見られないので致し方なかろう。


「奴隷兵、怒る」
(戦争を語るブログ)
http://blog.livedoor.jp/manfor/archives/51957099.html

敗戦時。米機の空襲に遭って一面の焼け野原。ところが意外と国民は怒っていなかった。それは、当時を描いた小説を読んでもわかる。国民は、米国に、政府に、軍部に、天皇に、ほとんど怒っていないのだ。「戦争だから仕方がない」、「他の人も同じ目に遭っている」。この奴隷根性は今も続いている。

多くの日本人には、政府の代表が国連人権委で「慰安婦は性奴隷ではない」と発言したのが、「東条英機は戦犯ではない」と言ったのと同じほど怖ろしいことだとわかってない。

アンドリュー王子の少女売春疑惑。海外では、「性奴隷」という表現での報道だ。実際、性奴隷の要件は満たしていよう。斡旋者の決めた相手と不本意な性行為を強いられる未成年者。事実なら大変なことである。むろん贅沢な待遇だったとか高額報酬を受けたとかはまったく赦免条件にならない。

多くの日本人の認識では、先頃のインドでの邦人女性監禁のような事例こそ「性奴隷」にふさわしい状況と思うだろうが、アンドリュー王子にまつわる騒ぎを見れば、欧米の認識ではずっと幅が広く、金銭的・精神的に女性を縛りつけ、思い通りにする場合にも適用されているのがわかる。 #慰安婦 #性奴隷

中世から近世にかけて栄えたオスマントルコの例を挙げて説明してみようと思います。
オスマン帝国皇帝のハーレムでは、奴隷として売られた女性たちが身の自由を奪われ暮らしていました。とはいえ彼女らは、一般人より衣食住において恵まれたし、皇帝の寵を得れば宝石など高価な贈り物ももらえました。皇帝の世継ぎを産み、皇后にまでなった女性さえいたほどです。
しかし……。
そうした事実があるからといって今日、ハーレム制度を擁護する人は西側にはおらず、「性奴隷」として認識されることに変わりありません。

またオスマントルコには、支配地から連れてきた子供たちを官吏や軍人に育てる(彼らはデヴシルメと呼ばれた)徴用制度がありました。
デヴシルメも農民などより暮らしは良く、とりわけイェニチェリと呼ばれるデヴシルメからなる軍団は、幼時からの洗脳教育で皇帝のため捨て身の奮闘も厭わぬ強者揃い、戦場でも厚遇されました。デヴシルメから大臣にまで成り上った者もいたほどです。
しかしこれも、今では擁護する人のいない制度です。

さて。
日本軍慰安婦制度についても、国連の対応を見るまでもなく、国際社会ではすでに「性奴隷」という認識が行き渡っています。
この件では、2007年に米国議会が対日非難決議を可決、さらに2014年、改めて決議に従うよう日本政府に求める法案にオバマ大統領も署名しています。
これに対し、「大事にされた」とか「金持ちになれた」とか「出世できた」などと、オスマントルコでの何百年も前の状況を擁護するのとあまりにも酷似した言い訳を持ちだして反論しても、まったく歯が立たないのはわかりきったこと。
ではどうしたら慰安婦制度を弁護できるかというと、弁護できないという答えしか出てきません。認めるしかない、そのことをもって二度と繰り返さないという確約とする。それ以外に選ぶ余地がないのです。

なぜなら、慰安婦制度の非道性は日本のアジア侵略の罪深さとまさに一体のものとして捉えられており、なんとしても軍国時代の過去を賛美したくてたまらない連中がどう甘言を弄したところで、占領地の将兵の愉楽に慰安婦をあてがった大日本帝国の姿を諸外国から好意的に受け入れてもらうのは第二次大戦に対する世界的評価を変えるのとおなじほど至難(いや不可能)だからです。

だいたい、「将軍なみの高収入」とネット右翼がさかんに吹聴する慰安婦の待遇ですが、彼女らの中で実際に「巨万の富を得て、皇位に列せられた」女性って、一人でもいたでしょうか?
(ハーレムの女性の中にはいました)
え? 「売春婦ごときを皇紀2600年の家柄と結び付けるとは何事か、無礼者!」ですって?
ということは。
大日本帝国の人権意識って、オスマントルコ以下ということになるのですか? そうですね? ええ、わかります。


「誘拐と慰安婦とハーレムと強制連行」
(戦争を語るブログ)
http://blog.livedoor.jp/manfor/archives/51966426.html

要するに。性奴隷なんて嘘だと言い張る方々の頭の中では「軍人は娼婦よりずっと上」の序列になってるのに、世界の人たちが慰安婦にされ日本兵に体を売った女性たちの不遇ばかり気遣い、日本の兵隊さんのほうは強姦者扱いするだけで敬意なんてまったく払わないのが気に入らないわけですよね。本音では。

とりあえず、言いたいことは言った。あまりうまく言えた自信はないけど。

気づいた向きも多いと思うが。
このまとめでは、「日の丸系の人が旧軍の名誉を守ろうと慰安婦制度への非難に抗弁するのはまったく逆効果」になることをしつこいまでに言い立てた。
実際にそれが、慰安婦問題での「日本側」の敗因のすべてと言ってもいいほど相手方を利する結果をもたらしたからである。

つまり。
もしも慰安婦問題で天皇の軍隊を擁護する者の精神状態がかつての日本軍人そのままだとすれば、その求めなど断じて受け容れようがないことを海外の関係者に悟らせてしまったのだ。
そういう意味で、「歴史事実委員会」、「歴史の真実を求める世界連合会」、及び「なでしこアクション」や「論破プロジェクト」など極右集団の活動はいわゆる反日勢力の勝利に大きく貢献したことになるが、慰安婦の件にかぎらずすべての歴史問題において今後もそれは変わるまい。

ネット右翼らも同様だ。
「海外掲示板」でどれだけ姑息な自作自演を繰り広げようと、前大戦での固定認識を改められないどころか逆に今の日本国家の立場をも悪くしていくことだろう。

ようするに慰安婦問題とは、ネット右翼が言い立てるような、普通の国の普通の軍隊として普通の戦争を戦った日本軍が戦後何十年もたってから突然、悪者扱いされ、戦時中に女性を連行し性奴隷にしたとの言いがかりによって始まったものではないということだ。

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