交通事故と戦災



 今年も、全国のよい子たちから反戦番組への感想が。
「こどもたちがたくさんしんでかなしかったです。せんそうはとてもこわいことだとおもいました」
 だが、待て。子供がたくさん死ねば、だれでも悲しい。
 そして日本では、交通戦争の犠牲となった児童のほうが、太平洋戦争で殺された子供の数よりもすでに多いはずだ。
 総動員体制と車社会。どちらもこの国の人々が選び取ったシステムの生み出した犠牲者ではないか。なぜ、戦災による被害者だけを別格視しようとする?
 自動車事故は個々の過失や不運によるが、空襲や魚雷攻撃は民衆のおよばぬ高所からもたらされたから?
 日本の庶民はだれも戦争を望まないのに軍人たちが暴走した?
 いいだろう。
 だが今度こそ、日本の社会が一部の自動車会社に乗っ取られたから道路で何百万もが死傷したなどと、おなじくらい愚かな言い逃れはするな。

「こどもたちがたくさんしんでかなしかったです。こうつうせんそうはとてもこわいことだとおもいました」



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