連合艦隊の戦略的運用法 投稿者: Westpoint_1999 |
2000年8月24日 午後 5時25分 メッセージ 2350 |
アメリカ軍から見ると、Uボートの脅威を別とすれば、大西洋の制海権はほぼ掌握ずみですから、開戦後に空母を太平洋に増援に差し向けたことからもわかるように、対ドイツ戦で大規模な洋上機動作戦はいらずとの判断だったと思われます。ヨーロッパ戦線は陸軍と空軍が主体ですから、この判断は誤っていないでしょう。 それゆえ、ドイツ最優先の方針をとっていても、大西洋の制海権が脅威にさらされないかぎり、太平洋艦隊が転送されることは考えられません。つまり、アメリカは基本的に二正面作戦をとっており、「まず、ドイツを」とは、その内での優先順位にすぎません。 連合艦隊がペルシア湾、アラビア海で活動し、アフリカ回りの補給路を断てば、たしかに連合軍には大きな打撃となります。しかし、北アフリカ戦線は基本的には陸戦ですから、機動部隊の活動ばかりでなく、陸上兵力による背後からの攻撃がともなわなければ、戦局を決定する力とはなりえないでしょう。 また、スエズが危機に陥れば、連合軍は日取りを繰り上げて、北アフリカ上陸作戦をずっと大規模に実施したと考えられます(マーシャル参謀総長は遺憾でしょうが)。つまり、このシナリオでは、1942年中に「欧州要塞」が完成するまでに、北アフリカでの本格的な米軍の反攻をひきおこすことになります。 ドイツ側がもちこたえるには地中海全域を制覇しなければなりませんが、さすがの連合艦隊もそこまでは進出不可能と思われます。 そのような場合でも、アメリカ太平洋艦隊はそのまま太平洋にとどまりつづけるでしょうから、連合艦隊が西方で長期にわたり作戦を展開している間は、西太平洋はガラ空きとなります。 つまり、ミッドウエー海戦なしで、ミッドウエー後と同じ(さらにいっそう米軍に有利な)状況が1942年の春から秋、さらには翌年まで続くわけです。たしかに、この好機を逃すようなアメリカ海軍であれば、その首脳であるキング提督は愚将中の愚将といわれてもしかたがないでしょう。
Manforstormさんの「ドイツは米軍を一正面で迎え撃たねばならなかった」(メッセージ229)は、換言するならば、「ドイツは1942年中に東部戦線でソ連に、北アフリカでイギリスに勝利を収めなければならなかった」とのテーゼになるのですが、それならば、連合艦隊の西送にとどまらず、ドイツの要望をいれて1942年の夏に対ソ戦を開始すべきだという結論になるはずだと思うのですが、しかし、Manforstormさんは他方で対ソ戦は避けるべきだと主張されています。これは私には論理的に一貫しないように思えるのですが、如何でしょうか。 私は、日本側がとりうる戦略は、持久戦しかない(それでも敗北は必至)と考えます。戦線を縮小し、太平洋の諸島と本土の航空要塞化と、連絡路、補給路の確保これしかなかったのではないでしょうか。
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これは ヤフー掲示板で実際におこなわれた論争を再現したものです。 Manforstorm以外の発言者については、著作権を配慮し、ハンドル名を変えたうえ、投稿文も主旨を損なわぬ範囲内で書き改めました |