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日本人とアメリカ人(続)
投稿者: Manforstorm
投稿日時は、2000年8月28日以降と推測
メッセージ番号不明0
 Westpoint_1999さん。
 最近、メッセージへの返応が遅れ気味ですが、ご容赦ください。
 「メッセージ250」に対する意見の続きを述べさせていただきます。


>「連合艦隊とともに膨大な輸送船がインド洋方面に移されていますから、米軍が攻めてきても、日本軍はこれらの地域に補給不可能です。かりに増援部隊を派遣しても途中で沈められてしまうでしょう。
 また、潜水艦による本土・南方間の通商ルートの破壊作戦もさらに活発におこなわれるでしょう。石油の本土還送もほとんど不可能になるかもしれません」(メッセージ250より)

 補給の問題。
 対潜警戒は重要な課題ですが、この1942年中では、船舶の輸送網がこうむる被害は深刻な打撃とまではならないでしょう。というより、深刻な打撃としてはならないのです。
 太平洋戦争の敗北は、海戦による損耗よりも、船舶の撃沈にともなう兵員や補給物資の消失がおよぼす影響によって具体化していきました。
 Uボートが大西洋で成し遂げるべきだった戦果が、太平洋では、米潜水艦による敵輸送船への打撃となって実現されてしまったのです。
 まこと、海上輸送の安全確保は、勝敗の鍵を握ります。
 わがシナリオ通りにことを進めるためには、大西洋で米海軍がおこなったような対潜作戦を太平洋とインド洋でも成功させなければなりませんが、これは海軍の方針や対潜技術が関与してくる部分なので、完全に実現するのは難しかったと思われます。
 実際、日本海軍が潜水艦の建造と運用をおざなりにしたことは、最大の敗因の一つとなりました。

 太平洋戦争の戦術において、大艦巨砲主義が時代遅れであったとは定説ですが、おそらくは、にわかに浮上した洋上航空力重視の見方も当時として尚早だったでしょう。
 大東亜洋上圏の実質を守りぬくには、潜水艦戦力の増強による敵補給路の遮断と対潜哨戒によるシーレーンへの防備態勢の確立を成し遂げることがなによりも大事だったことを結果が証明しているのですから。


>「本土侵攻は不可能でも、1942年中にアメリカ軍はラバウル、トラック、さらにはグアム、サイパンの線まで進出できるでしょう。そこまで、確保できれば、中東から戻ってくる疲れ果てた連合艦隊の帰路を捕捉して撃滅することも不可能ではないでしょう」(メッセージ250より)

 ソロモンでの連合艦隊主力消失後の1943年、増強された米軍がいよいよ本格的反攻を開始したあとでさえ、日本は残存戦力だけで敵が本土に達するのを二年以上の歳月、食い止めています。
 両軍の攻め方、守り方にもかかってくるでしょうが、やはり1942年中では、米軍といえども国防圏水域の防備を大きく切り崩すところまでは侵入してこられないのではと思います。

 さらに、連合艦隊が待ち伏せを受ける可能性について。
 上に述べた状況下で、米海軍の機動部隊が東進する連合艦隊を待ち構えるとしても、わが国防圏の水域を背にしなければならぬことになり、これは逆に言えば、彼らにとって退路をふさがれ、挟み撃ちにもなりかねない賭博的状況です。
 どちらが有利かはどうとも言えませんが、ミッドウェーでおびき出そうとした敵機動部隊とここで遭遇するのなら、はるかに好条件で勝負を進められたかもしれないのです。

 ところで、連合艦隊が日本に戻る必要があるでしょうか?
 その頃には、日本が制海権を握り、同盟諸国との連絡路となったインド洋の戦略図はガラリと変わっていて、ペルシャ湾、アデン、セイロンでの各拠点が補給を支え、おそらくは英国の支配力を駆逐したインド国民軍政府による大々的な支援も期待できることでしょう。
 むしろインド洋に腰を据え、地中海と太平洋、両方面での有事に対応し、東西いずこへもスイングできるよう備えたほうが望ましいのではと思われます。
 ゲームとして眺めるなら、それもまた一興ではありませんか。


 以上。
 メッセージ250「本土侵攻だけが反攻ではない」に対し、前回分の投稿では語りきれなかった部分について、説明を加えさせていただきました。
 ともあれ、1943年以降にならなければ米軍の本格的反攻は無理だったという私の判断は変わりません。
 1942年の敵艦隊勢力では、いかに暴れまわっても、日本の洋上帝国が維持できぬまでに致命傷をこうむらせることは不可能だったでしょう。
 Westpoint_1999さんの「メッセージ250」全体にわたる見解は、短期速攻を重んじる日本的な心理がアメリカにはかなわないという対米恐怖と共に敵側の行動予測に投射されたもので、けっして現実におこなわれたであろうアメリカ人の対日戦略を予見していないと思われるのですが、いかがなものでしょうか?


 これは ヤフー掲示板で実際におこなわれた論争を再現したものです