「獣(けもの)の恩返し」
(『にっぽん残酷昔話』より )
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画像はイメージです。物語と関係ありません。 |
「もう、捕まるんじゃないよ」
猟師の仕掛けた罠を、心やさしい若者が足から外してくれました。
タヌキなのかムジナなのかハクビシンか種別も定かでないその動物は、一目散に逃げていきます。
その晩。
若者はそわそわして寝付けませんでした。
動物を助ければ、夜になって美しい女性に身を変え恩返しにやって来るとの言い伝えを信じていたからです。
どんなお返しが来るのかな。楽しみだなあ。
果たして、夜も更けた頃……。
怒りに燃える形相の男が鉄砲をかまえ、怒鳴り込んできました。
「てめえだな。仕掛けた罠から獲物をみんな逃がし、狩りの邪魔してやがるのは?」
理性をなくし獣(けもの)と化した猟師の御礼参りです。
( おしまい )
追記
誰にでも思い付きそうなオチですね。
既成作品と重複してたなら済みません。
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