ところが、スターリンに対米戦争での仲介を取り持ってほしかった日本は自分の都合から、対ソ開戦の要求に応じない。それどころか逆に、ドイツのほうに三国同盟にもとづきアメリカと交戦するよう迫ったのだ。
先生。日本ははじめから米国との早期講和を意図していたわけですけど。ドイツやイタリアを対米戦に引き入れた後で自分だけ戦うのをやめちゃったら、独伊にとっては梯子をはずされた格好になりますよね。あとはどうする気だったんでしょう?
あの時代の日本の国策は、まこと行き当たりばったりじゃ。自国の将来ですら五里霧中だというに、どうして他国の将来まで思い描けよう。
【コミンテルンの陰謀で戦争に追い込まれた?】
コミンテルンとは、国際共産主義連合。ソ連邦の世界での影響力を拡大させようと活動した組織である。
別名、第三インターナショナル。
コミンテルン陰謀説とは、日本があの戦争に突入、亡国にいたったのはすべて、ソ連が裏で糸を引いたという考え方じゃの。この説を支持する著名人には、田母神俊雄、渡部昇一、西尾幹二、櫻井よしこ、小堀圭一郎、黄文雄、中山成彬……などがおる。
先に述べたように、ハルノートは最後通牒でも過大な要求でもなかったうえ、日本の開戦は秋のうちに閣議決定されていた。時系列を追うだけで、ハリー・ホワイトの暗躍で日本が戦争に追い込まれたという説自体が破綻しているとわかる。
そもそも、ハリー・ホワイトなど小物にすぎん。ルーズベルトの周囲には何百という側近が群れておったのじゃ。この手の陰謀論は、合衆国がデモクラシーの国であり、政治指導者といえども国民に従属する立場にあったというもっとも重要な事実を忘れた愚論である。
【米国大統領は真珠湾攻撃を知っていたか?】
あと。スティネットという人の著書がルーズベルト大統領が真珠湾攻撃を知っていたのを暴露した件については?
真珠湾の真実 ― ルーズベルト欺瞞の日々
amzn.to/GQJyGG
スティネット? ゲス野郎め。ノルウェー亡命政権の代表だったマルタ王女が深夜にホワイトハウスを訪ねた件で、まるで王族の人妻と車椅子がないと動けない老体の合衆国大統領との間に不倫の性関係があったよう匂わせること書いてるだろ。あの記述ひとつだけで、本全体の信憑性はかぎりなくゼロだ。
南京事件-日中戦争 小さな資料集 ゆうのページ
1999年12月、スティネット『真珠湾の真実』という本が出版されました(邦訳は2001年6月発売)。
スティネットは、「狭義の陰謀論」「広義の陰謀論」それぞれについて「決定的証拠」を入手した、と主張します。米国ではほとんど無視された形でしたが、早速これに飛びついてしまったのが、京大教授(当時)、中西輝政氏です。
しかしまもなくスティネットの「新発見」は、秦郁彦氏、須藤眞志氏、左近允 尚敏氏、またサンケイ新聞社『ルーズベルト秘録』取材班などの、どちらかといえば保守派の論客によって、ボロボロにされてしまうことになります。
【あの戦争の認識】
第二次世界大戦の認識については、海外でも一枚岩ではない。西側の保守層は「デモクラシーが日独の全体主義を阻止した戦い」という理想主義を奉じるが、その西側でも左派の人々はずっと即物的で、「強国同士の縄張り争い」にすぎなかったとみなす。
作者は、日米戦に従軍したノーマン・メイラー。登場人物に、太平洋戦争が「日米五分五分の帝国主義闘争」だと言わせているが、当時の米国では特異な見解だ。
しかるに日本では一部のネオファシストが、「白人の支配からアジアを解放した大義の戦争」と、笑われても仕方のないことを言い張る。太平洋戦争の起因が解放どころか、軍人たちの国家支配と中国への領土欲にあったのを忘れたお花畑史観だ。 pic.twitter.com/Uk1slf1XU8
彼らの史観は、今の政府の公式見解からも逸脱する、世界の中で真に孤立したものである。
http://megalodon.jp/2011-0818-0536-52/www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/qa/01.html
先生。日本は、早期講和をもくろんで開戦しました。でも同時に、西欧の植民地にされた東亜の国々を解放すると宣伝していたわけですけど。仮に英米との講和が成立なった場合、白人から「解放」したアジアの諸地域を日本はどうするつもりだったんでしょう?
【日本の戦争は正しかったの?】