その一 同盟国と連携しなかった
戦術の原則で最たるものは、「戦力の分散を極力おこなわず、味方が連携して戦う」こと。しかるに、第二次世界大戦における日本とドイツとは、同盟国同士でありながらけっして共同作戦をおこなうことなく、敵側から最後まで分断された状態のまま「各個に撃破」されてしまいおった。
今日、その成り行きが歴史としてあるため不合理に気付く者は少ないが、枢軸側の戦い方は戦術原理への自滅的背反としか言いようがない。
ネトウヨの「永遠にゼロ」氏に訊いてみましょう。理由がわかるかも
おい、ちょっと。みんなと違うこと言っちゃダメだよ。日本とドイツで共同作戦って……なんで光輝ある大日本帝国が、悪逆なナチスの軍隊と結び合わにゃならんの?
日独で一緒に戦う? 日本は日本で手一杯、ドイツを助ける余力はないよ。連帯しろたって、日本とドイツじゃ言葉も文化も違うし、地理的事情もある。日本はドイツの利用できるところは利用、自分のことだけ考えてりゃよかったの。よそはよそ、うちはうち!
ナポレオンの攻撃をひたすら食い止めながらプロシア軍の来援を信じて待ち続け、ワーテルローでの勝利をもたらしたウェリントンと比べたら格の違いが雲泥のようだ。
その二 敵を見くびり、早期講和が可能と信じた
緒戦で勝ったよう見せかけ敵の戦意を挫くという子供のまやかし! それが現実主義で計算高い英米人に通用させられると信じた! しかも講和の仲介をあのスターリンにまかせようとは! そうした夢想の実現を最終目的とする軍事力行使に国運を賭けよった!
みんな頑張ったんだよ。そんなに言うことないじゃん、認めてやってよ~。 pic.twitter.com/X0K3XMrhoS
いかに世界をなめきった思いで国難を乗り切ろうとしたことか。 実際には、「短期決戦早期講和」など日本人だけが可能と思っていた空回りの戦略にすぎん。
当時、米国では1943年中の配備を目途に、
連合艦隊をはるかにしのぐ規模の大艦隊を建造中だった。
太平洋で手持ちの駒を失えばアメリカ政府は和平に応じるという、
甘い妄想を前提とした作戦で戦争に勝てるはずがないのはあきらかじゃろ。
違う、そうじゃない! 日露戦争の前例があるだろ? 見くびるどころか長期戦だと勝てないのがわかってたから、山本五十六連合艦隊司令長官は懸命にも早いうちの講和をめざしたんだ。そんなことも知らんのか?
いや、賢明にも。
山本五十六は日米開戦に反対だった。相手の巨大な国力を、駐米武官の経験からじかに知ってた。それでなおアメリカと戦わなければならなかった山本の苦悩! 歴史の流れに翻弄されながらの英雄的決断! とうとう司令長官を辞する覚悟まで見せ、戦争を早期に片付ける真珠湾攻撃案を軍令部に認めさせた。
いや、まったくわからん。支離滅裂。
最後まで開戦に反対したならともかく。
戦うのがいやなら自分の作戦案など通さず、辞任しちまえばよかった。
ゼロさんのって、さんざん聞かされた山本五十六の神話でしょ。
実際はかなり違うみたい。
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「山本五十六が日米開戦に反対だったのならハワイ作戦を立案する前に、連合艦隊司令長官を辞任するべきだったのではありませんか?」
(Yahoo!知恵袋)
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1088893115
そういうこと言う人いるんだ~。山本五十六は外国から見ても、理想の人物像。ハリウッド映画でも立派に描かれてるじゃん。 pic.twitter.com/yEcc4VDXQ2
20世紀フォックス映画『トラ・トラ・トラ!』より。
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映画会社にとって最も重要なのは公開作がヒットすることだ。
『トラ・トラ・トラ!』の場合、日本の観客をいい気分にさせ日本市場を掌握するのはむしろ二の次で、ずっと大きな世界市場でアピールさせねばならなかった。
そのためには、中核的な存在の山本五十六を、アメリカや世界の観客の目にも「納得できるキャラクター」として扱うのが不可欠となる。
しかし実際の山本五十六では……まあ、あの通りの出来栄えだ。そこでフィクションと割り切ったうえ魅力ある人間像に設定する以外にない。すなわち、しばしばヒトラー暗殺計画に連座して扱われるロンメル将軍と同様、史実を誇張しても政治的に理想の立ち位置にいるよう粉飾された。
とはいえここが肝心だが。求められた「魅力」とは欧米文化圏から見た魅力にすぎず、山本五十六の場合、武人の鑑、武士道の体現者としての東洋的なアレである。
実際、後続の『ミッドウェイ』でも『パールハーバー』でも、そんな風に描かれる場合が多いわけで、これはもう、時代劇で宮本武蔵や水戸黄門を描くのと変わらぬ次元にほかならず史実性の付け入る余地のほうが少ない。―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
山本五十六が言われるとおりの開明派で侵略や日米開戦に反対の立場ならば、なぜ連合艦隊の総力を挙げ、「善玉海軍」と敵対するはずの「悪玉陸軍」に立ち向かい祖国を軍国主義から解放しなかったのか? 場合によっては、アメリカやイギリスと手を組んでもそうすべきではなかったかな?
なに無茶苦茶いってんの。そんなの、妄想だよ~! 絶対不可能、できるわけないじゃん。まさか山本五十六はクーデター起こせとか、同じ日本人同士で殺し合えとか言う気じゃないよね?
ましてさ、米英の毛唐と組んでまで。そんなのニッポン人じゃないでしょ。
大戦後期、決起したイタリアの反ファシスト勢力もやったことだ。その働きにより祖国を戦犯国家ではない、自由主義陣営の戦勝国に位置付けさせた。
だから~。日本人はそんなヘタリアーノみたいに戦況不利でも味方を裏切らないし、温厚な国民性だから同胞で殺しあいとか出来ないんだってば。
突っ込みどころに事欠かぬ返答なので、もう何も言わん。銃殺隊を前に、「どこからでも撃って蜂の巣にしてくれ」と大手を広げたようなもんじゃわ。
フォーゲル親父はうまいやり方で、「偶像ヤマモト」に酔い痴れていい気になるばかり、結局、反省もなければ教訓もつかまずに史実から逃げまわる一部日本人の心の状態をあぶり出してる。
腰抜けども。イタリアの反ファシストのほうがずっと勇敢だ。