その三 空母撃滅に執着、洋上輸送は無関心
一般の認識では、ミッドウェー海戦の敗北によって日米戦の潮流が逆転、好勢だった日本は亡国への道を歩み出したとされています。空母四隻を失った日本側は、戦艦は無傷なのに後の活動に大きな制約を受けるわけで、つまり空母機動部隊の戦力差こそ太平洋での勝敗を決する要だったと言えないでしょうか。
すっかりアシストぶりの板についた天野美和。実は、用意した原稿を読み上げてるだけ。
新しい時代の戦争は、空母機動部隊に主役の座が明け渡されたように見えながら、まさしく水面下では純粋に経済的で、軍艦よりも輸送船の撃沈数によって勝敗が分かれていった。
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実は日本にも、性能は劣らず規模も小さくないという、立派な潜水艦隊が配備されていた。
とりわけ魚雷の威力に秀でるその潜水戦力はしかし、間違いだらけの用い方により存在しないも同然だった。
帝国海軍は、味方の潜水艦をUボートのように運用すること、敵の潜水艦をUボートのように駆逐すること、どちらにおいても無能をさらした。
攻撃どころか島々に物資を補給する足代わりにされる有様で、日本も潜水艦で敵の海運を妨害するようドイツから忠告を受けても、艦隊決戦を信奉する頑迷ぶりは変わらなかったのである。
戦艦大和を無為にしたことよりも潜水艦隊を無為にしたことこそ、海での敗北のはるかに大きな要因だったといえるかもしれない。
http://www.geocities.jp/ondorion/war/world-war.html#atlantic
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山本五十六の崇拝者は、彼が空母による機動作戦を採り入れた先見の明を称賛するのが常である。しかし、戦車を群れで突撃させるドイツの電撃戦術を誇るのと同様、それで祖国に勝利をもたらせなかった重要な事実は都合よく無視されておる。
「古今東西の戦争史において、主要な兵器がその真の潜在威力を把握理解されずに使用されたという希有の例を求めるとすれば、それはまさに第二次大戦における日本潜水艦の場合であろう」
(チェスター・ニミッツ)
出典は、『日本海軍潜水艦物語』(鳥巣建之助著、光人社NF文庫)97-98頁とされる
山本以降の日本海軍には、空母を沈めねばとの強迫観念にとり憑かれ、他は眼中になくなったところがある。最後の大博打レイテ沖海戦での甚大な犠牲が無に帰したのも、レイテ突入部隊の指揮官がふと目にした敵空母を追って反転、全力で撃滅するはずだった米上陸軍の護送船団を見逃したからじゃの。
【第二次大戦で日独伊が勝利する作戦は?】
勝ち目だと? 真理を言うなら、戦争で絶対に負けない国など存在せん。アメリカも例外ではなかったはずだが、この真理についてはアメリカと戦った日本のほうが思い知らされた。
たしかにな。勝てる状況で勝てる相手とだけ戦えば、負けたりしない。
あまりにも言うことが当たり前なキルロイであるが、その当たり前さが欠落したのが当時の日本であった。
つまり、敵側の陣形を切り崩すのに一番効果的な箇所に全力でぶつかること。これぞ戦術の原則、ナポレオンを常勝させたやり方だが、日本人にはできなかった。
当時の大英帝国は世界の政治・経済・軍事をなおリードする存在として最後の輝きを放っていた。小国どころか、地球大に広がった英国連邦の諸地域と海軍力でしっかりと結ばれ、最盛時のナチドイツにさえ易々とは降せない。逆から言えば、これを切り崩すやり方こそ第二次大戦での枢軸側勝利の鍵じゃった。
さて。大英帝国のおかれた戦略的位置を説明するには、話を1940年のドイツ軍西方進撃によるフランス崩壊後、ドーバー海峡の制空権をめぐる英国決戦(Battle of Britain)の時期まで戻さねばならん。
【英国決戦(Battle of Britain)の意味】