ご 注 意
以下の文章は、2009年秋より前に、
つまり自民党がまだ日本を支配していた頃に書かれたものです

バカウヨの壁
−−ROOSTER ROOST−−





「この壁は、誰が、何のためにつくった?」
「バカウヨさんが。外の世界と日本を隔てるために」
「こんな壁、誰にだってよじ登れるだろ」
「内側からよじ登る人はあまりいません。壁があるのに気づくことさえ、少ないんです」





インターネットの日本語圏には「バカウヨの壁」が築かれている。
外部の者には、その中に入ることも、内側でのやり取りをうかがうことも出来ない。
壁の中は、まったくの狂熱的愛国者だけの世界、充満した排他意識で爆発寸前の袋小路となった状態だ。

ここで言うのは、「バカウヨの壁」である。
日本の壁ではない。

気の利いた日本人ならば壁などは意識しないだろう。
流暢に、あるいはぎこちなく外国語を使って(ときには日本語だけでも使って)、外国人と意思疎通をはかり、人の輪を広げていくことができる。

また、日本人ばかりで意思疎通しあうのが悪いと言うのではない。
同じ国の者にしか通じない話をするからといって偏狭とは責められない。それはどこの国の人もやることだ。
ネット右翼のような病理人格にだけ耐えられる話題で、いい大人同士がかたまり合うことに特異性があるのだ。


「日本は無実だ、侵略国家なんて濡れ衣だ」
「日本人はむかしから温和で、日本軍は規律正しかった。虐殺や強姦などありえない」
「戦争に負けたので、悪役にされただけ」
「南京大虐殺なんて中国の捏造だ」
「東京裁判は戦勝国による不正な裁き」
「従軍慰安婦問題は中韓が仕組んだ」
「真珠湾攻撃は米国大統領の陰謀だ」
「アメリカは原爆を投下したくて、日本の終戦を妨害した」
「悪いことなんて、どこの国もやってる」
「ナチスは絶対的な悪だが、日本の侵略は相対的な悪にすぎない」
「普通の国なら、核武装しよう、核武装!」
「中国人も朝鮮人も、日本を貶めようと世界中で暗躍してる」
「お。日本人になりすました在日がまた俺たちに文句いってるぞ」
……。


いやはや。
外国人なら不思議に思うに違いない。

 いったい、こいつらは何をやってるんだ?
日本語しか話せない者ばかり三千人も群れたって、なんにも世界に訴えられず、自分たちの間での空回りじゃないか。

 まさにしかり。

そういう「議論」があるのを知られることさえないのだから、諸外国の対日史観は、彼らバカウヨどもに具合の悪い状態でいつまでも固定されたままだ。
そんなに祖国日本の「濡れ衣」を晴らしたいなら、海外に打って出て、あの大戦の戦勝国民すべてに「日本は侵略国」という共有史観の修正を迫るべきなのだ。
(アメリカ、イギリス、オーストラリア、オランダ、フランス、中国、フィリピン、ロシア……世界は広い)

もちろん、「ヒトラーはヨーロッパを共産主義から守るため、ソ連に攻め込んだ」「イタリアはリビアやエチオピアを侵略しなかった」という類の暴論同様、受け入れられるものではなかろうが。
そして、2ちゃんねる流の屁理屈では歯が立たない世界の現実の前に粉砕されてしまえと言いたい。

だが、無理だろう。
彼らは、外には出て行かない。

語学力は別にしても、バカウヨどもには外国人と対話するのに必要なディベートの才がない。
国内で反対意見とやりあう場合でさえ、ずるい真似をしまくって勝ったようなフリだけさらし、徹底的に自分を甘やかしてきたのだから。

「議論」とは多人数で同じ台詞を繰り返し、相手側の主張を封じてしまうことだと信じ込んだ連中である。
そして「論破」とは、ヤフー掲示板やら2ちゃんねるのような「交流の場」を管理する身となり、都合のよいジサクジエンを押し通すことだと決め込んだ連中である。

こういう論客が多民族のつどう場で、パーソナリティーの魅力によって支持を広げるなどあり得るわけもなく、「論争」を見守る他国人からなんの共感も得られないのは目に見えている。

「日本人ってエライんだぞ。欧米人のやることは何でも真似できるんだ。西洋化も、富国強兵も、アジアの植民地化も、ファシズムだって、お手本どおりにしてやった。どうだ、すごいだろう。でも戦後ドイツの真似だけは真っ平ご免で、侵略の罪なんて反省するもんか」

これまでバカウヨどもがたれてきた天文学的な量の能書きを要約すれば結局、こう言ってるようにしか聞こえない。
日本人であることなど他人の状態にすぎない外国人には、興味も関心も引かない内容だろう。

だからこそバカウヨどもは、インターネットの日本語圏に壁を築き、壁の中にひきこもる。
外部から遮られ、外人の目のおよばない安全地帯で、寄り合って、日本という祖国と一体化した快感のうちに集団性のナルシズムにふけるのだ。

「ニッポン、良い国、神の国」
「世界中が日本に拍手する」
「日本人は白人みたいにカッコいい」
「ああ、国のためなら死んでみせよう」
「見ろ、テキサス親父も応援してくれる」

たいへんな愛国者たちと言うしかない。
韓国の「ネット右翼」が、世界中の地図や教科書の版元に「日本海 ⇒ 東海」へと表記修正を迫り、それなりの成果を挙げているのとはまったく対照的であろう。

バカウヨどもが自分らの願望と食いちがう史的認識を表明され、「反日だ」「自虐史観」だと文句をつけるのはすべて、国内のメディアや個人ブログに対してだけ。
それで、欧米など自由世界で「真珠湾のだまし討ち」や「性奴隷」、「南京での蛮行」が規定事実となっていることにはダンマリを決め込むという腰抜けぶり。

「祖国の汚名」をそそぐことなどどうでもよく、国の中で永遠に、自分らだけの夢に浸ろうという算段でいるようだ。
それこそ彼らのほんとうの望みかもしれない。


( 続く )






キルロイ見てるぞ


戻る