ご注意
以下の文章は、2009年秋より前に、
つまり自民党がまだ日本を支配していた頃に書かれたものです

バカウヨの嘘が世界で通じないわけ
――ROOSTER ROOST――




「おい、ニワトリ。ゲッペルスと日本の歴史修正主義者の共通点って、なんだかわかるか」
「丸焼きになっても食べれないところとか?」
「自分の国でしか通らない嘘をついて得々としてるところさ」




たしかに。
デマゴギーの達人として名高いゲッペルスだが、実のところ彼の宣伝は、ナチ党政権下のドイツ国内でしか効果を挙げられず、国境を超えて他国民に届いた途端、笑いものとなるのが常だった。
嘘とかデマというものは、大量に発信するだけでは意味がなく、受け入れる素地のある集団に働きかけた場合のみ浸透していくのである。

ところで、日本の歴史修正主義者は自分の国の中ではこんなことを言い張っている。


「先の大戦は英米への正当な防衛戦争だった」
「日本は白人からアジアを解放し、感謝されている」
「皇軍はルールを守って戦ったが、敵側は絨毯爆撃や核兵器で女子供を虐殺した」
「1937年、上海に派遣された各国軍の中で、日本軍だけが内陸部へ大挙してなだれ込み中国の首都を攻め落としたのは、上海にとどまった他国の軍隊とおなじ理由、租界内の自国居留民を守るためである」
「あの戦争で正しかったのは日本だけ。アメリカもイギリスも、中国も、ドイツもソ連も、他の国はみんな間違っていた」


しかし……。
歴史上の解釈には、通用するものと通用しないものがある。

第二次大戦におけるアメリカ軍の場合、ファシズムからの解放者としての身上を大きく備えていた。
それについては英国、カナダ、オーストラリアなど英語国民はもちろん、フランス、ベルギー、オランダ、北欧諸国、ユーゴ、チェコ、イタリアなど欧州諸国民も認めており、国際的に共通の了解ができあがっている。

一方、東半球のほうでは、ヒトラーの同盟者であった大日本帝国が本心からの善意をもって白人による支配から東亜植民地を独立へと導いたなどと、よほどこじつけて受け取らないかぎり、そのように発言するアジア人はいない。

繰り返すが、「大東亜戦争がなければ、アジアはいつまでも植民地のままだった」などというのは靖国派だけの神話である。

太平洋戦争の始まるずっと以前から、アジアの人々は自立を求め、支配者との闘争を続けてきたのだ。
ガンジーらが大英帝国に挑み、ホーチミンはフランスに抵抗、インドネシア人がオランダと戦った。
多年にわたる働きかけが実ったフィリピンではアメリカから数年後の独立を約束されていたほどだ。
そして、最大の犠牲を払いながら主権を維持する中華民国が、圧倒的な軍事力で攻めかかる日本の侵略を受け止めていた!

この中国の日本軍に対する執拗な抗戦、および中国に味方するイギリスやアメリカによるさまざまなかたちでの支援こそ、大日本帝国を窮地に追い込んだ主因である。
行き詰まった日本は、「自存自衛」「アジア解放」と称し、南洋資源の奪取と海上輸送路確保のため連合国との開戦に踏み入ったのだ。
侵略国としての日本にはなんの言い抜けも許されないだろう。

以上が、帝国日本の軍事力暴発とその帰結についての世界的認識にほかならない。
異を唱えるのは、靖国派と呼ばれる一握りの集団だけ。

その靖国主義者によれば、「アジアの国々は、白人の植民地支配から解放してもらったことで、日本に感謝している。ガンジーやアインシュタインも日本の功績を讃え、そしてマッカーサーまでが日本の開戦は自存自衛のためだったと証言した」ことになっている。


笑わないでもらいたい。
繰り返すが、彼らは本気だ。けっして、欧米人を笑わせるための戯言ではないのだ。
それにしても、まるでゲッペルスが生き残り、日本のウルトラ・ナショナリストのため宣伝文を草したかと思える無茶苦茶ぶりではないか。


ご注意
以下の文章は、2009年秋より前に、
つまり自民党がまだ日本を支配していた頃に書かれたものです

こうしたことを大真面目でとなえる日本の極右集団は、たしかに国内で大きな影響力を振るう。
首相官邸に代表を居座らせ、国会やマスコミの半分を支配下に置くまでに勢力を拡げているが、思い通りになったのはそこまでで、国家の公式声明というかたちでは言いたいことを世界に訴えることもできないのが現状だ。
なぜなら、自由世界を中心とする国際世論が許さないから。

これは、昔の怨みをいつまでも忘れない国が忘れてもらいたい過ちを蒸し返すといった次元とはまるで異なる。
かつて国際社会に敵対し巨大な惨禍をもたらした国がまたもや自己正当化に捉われ、そのときの倫理水準のままで自国のなしたことを名誉ある史実のように吹聴するという、イランや北朝鮮が核武装して世界に挑むのと同次元の、そしてドイツの指導者がヒトラーは正しかったと公言するのとまさに同等の、きわめて現代的で差し迫った脅威に受け取られるということだ。

だからこそ、他の悪いことはすべてやった小泉にも、安倍にも、麻生にも、日本国総理の身で昭和前期の軍事行動を賛美するという真似だけは絶対にできなかったのだ。
彼らが確保したものは地球村の袋小路に過ぎないのである。

日本の歴史修正主義勢力にとっては、まるで自国を取り囲む高い壁がそそり立ったようで、それをどうしても乗り越えられずにいる。
自分たちの主張そのものが世界に対する壁だとは気付きもせず。

最近、外務省がアメリカでおこなった世論調査では、「米国民の八割が日本を信頼している」との結果が出た。けれどもこれは、こんな採点に自惚れていい気になるような愛国馬鹿がもたらした成績ではない。
日本への高い評価は、靖国派の脅威など露知らぬ米国民によって、民主主義陣営の一員として諸国家と協調する日本国民各位の健常ぶりを判断の目安にしたものである。
もしも現政権が反米、核武装というウルトラ・ナショナリストの本音を丸出しにしたら、対日評は北朝鮮なみに転落するだろう。


( 続く )






キルロイ見てるぞ


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