最近、ネットで流布する「否認派」による新手の与太話。
敵の手に落ちた自国の首都で残虐行為がおこなわれるのを、国民党の軍隊が傍観していたよう印象付けるというわけだ。
| | ほんとうにアメリカ人がそう訊いたかは、きわめて疑わしい。 |
「中国人はずっと、日本人は南京大虐殺で中国人を大量に殺害したと言っている。」(元ネタより) 本物のアメリカ人なら、こんな言い方はしない。
残念ながら、欧米人が旧日本の戦争責任を論じる場合、「あの暴虐な軍隊なら、どんな真似だってやるだろう」との前提で話を進めるのが普通だ。
彼らには、「真珠湾のだまし討ち」や「バターン死の行進」など連合軍将士になされた非道ぶりがまず頭にあるわけで、中国戦線での日本軍についても到底、「公正で規律ある軍隊」などという親切な見方はしてくれない。
まして「南京の暴虐」はすでに、まともな人は異をはさまない世界史の一部なのであり、日本政府も公式に認めざるを得ないところだ。
「日本軍の南京入城(1937年)後、非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できないと考えています。
(ネトウヨどもは悔しかろう。だが事実だ)
「中国人だけが言ってる」ように言うこと自体、尻尾まるだしのバカウヨらしさではないか。
さて。
「南京大虐殺のとき、中国軍は何をしていた? 自国民を救わなかったのか?」
まったくもって、新味も、鋭さも、戦略上の理解も、まるで感じられない愚問のきわみというものだ。
バカウヨの頭では急所をうまく突いた気なのだろうが、実際はこうしたことを大真面目で聞くのとおなじほどの愚昧ぶりをさらしたにすぎない。
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「ナポレオン軍にモスクワが占領され、大火となったとき、ロシア軍は何をしてたのか?」 |
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「1814年、英軍に首都ワシントンが焼き打ちされたとき、アメリカ軍は何をしてたのか?」 |
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「元寇で対馬の住民が殺戮されたとき、日本の武士たちは何をしてたのか?」 |
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そして、
「広島や長崎に原爆が落とされる間際、日本の防空隊はそれを防がなかったのか?」 |
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もしも、「中国軍が南京を奪われたとき何もできなかった」事実を強調することが日本軍の蛮虐の度を薄める効果をもたらすと本気で考えるとしたら、否認カルトとはなんと頭のおかしな集団であるかの証明にはなるだろう。
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