第二次大戦の歴史を語るのに、自分くらい不適切な者はない。
学識、経験、人格、筆力……どれをとっても不足なのに加え、当時生まれてさえいなかったのだから(いや。そこまで言ったら、フランス革命も戦国時代もだれにも語れなくなってしまう)。
それを恥とも思わずこうしたページを立ち上げたのは、近来の、漫画本だけで善悪をわかった気でいるような、戦争について語れるはずのない者ほど熱弁をぶつという風潮を憤っての挙にほかならない。
ひるがえせば、小林ほしのりのような輩が本何冊分の能書きを垂れるのだったら、万人が思うところを語っていいわけだ。
これから述べるのは、見解であって、歴史ではない。
門外漢が好き勝手をほざいたものにすぎず、史的資料としては軍票一枚ほどの値打ちもない文句の羅列である。 それでいて、最高の学問の場に居座り、縦横に資料を活用できる先生方とくらべても遜色ない、真に迫る主張をしたと自負できるのだ。
もっとも、戦争の話をするのに教養の度合いが意味をなすとは思えない。 実際、あの戦争がアジアに解放をもたらす正義の闘争だと言い出すような人は、大学でなにを学んだか疑いたくなってくる。 小学生の道徳心さえあるなら、災厄の月日の本質は一息のうちに言い当てられるはずなのに。
「あんなに大勢の人があまりにも悲しく死んでいったのは、 ずっと大勢の人たちがあまりにも愚かなままだったからです」
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