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やっぱり山本――愚将は時代を体現する
投稿者: Manforstorm
2000年8月19日 午後 6時43分
メッセージ 1880
 なぜ山本五十六を愚将の王者として推すかといえば、彼のような人物が、祖国をどのように導き、祖国からどのように遇されたか、その事実によって当時の日本国民の精神状態をあぶり出すことができるからなのです。

 1941年末の日本にとって次善の策はハルノートを受け入れることでしたが、それは大日本帝国の戦わずしての滅亡を意味しました。
 皇国の臣民にとって連合国側と戦う以外になくなったわけですが、その戦い方は……。
 緒戦で勝利のカタチだけつくろって敵方の戦意を挫くという子供のまやかしを現実計算家の英米に通用させようとしたこと、仲介をよりにもよって、あのスターリンに依頼しようとしたこと、そうした夢想的講和の実現を最終目的とする軍事力行使に国運を賭けたことなど、当時の日本人がいかに世界をなめきった考えで国家危機を乗り切ろうとしたか、うかがえるのです。

 かかる自滅的軍略を先頭に立って遂行した人物が山本五十六だったということになりますが、彼はまさしく、彼のような男を艦隊司令官に任じる国民が共有していた時代精神を体現する指揮者ぶりを見せたのです。
 彼が死んだとき、損耗された連合艦隊は水域を守備できぬまでに弱体化し、北アフリカでロンメルと協働するという日本の唯一の勝機も完全に失われたあとでしたが、山本とおなじ精神状態に支配された国民は山本の責任を追求しようとはしませんでした。
 このような人物を国葬に遇するほど崇敬し、けっして戦局の実情を知ろうとしなかった人々――一億人の山本五十六――があのように無惨な負け方で終戦を迎えたのは当然でしょう(連合国側にとっては実に幸いなことでしたが)。


 これは ヤフー掲示板で実際におこなわれた論争を再現したものです