スエズは遠く、太平洋あまりに広し 投稿者: Manforstorm |
2000年8月22日 午前 6時32分 メッセージ 2090 |
susumu18さん。
いくらなんでも、メッセージ206であなたがおっしゃる壮大無双な大戦略を連合艦隊だけでいっぺんにやれ、とまでは主張しませんでした。
こちらが言いたいことの主眼は、1942年というあのタイミングに、日本がなんらかのかたちでドイツと合同作戦をおこなう以外に山本五十六が祖国を救う術はなかったとする当時の世界状況にもとづいての判断なのであり、日本海軍がスエズ攻略をおこなえば、もっとも効果的な具体行動となっていたという仮定的結論です。
そうすることにより、日本海軍単独での勝負にこだわった山本五十六の価値に「?」を付けようとしたのがそもそもの動機だったわけで、したがって、皇国日本がヒトラーに宣戦しろとか、ただ面白ければいいというようなことは申しません。
susumu18さん。
あなたが過去ログを読まなかったのは責められませんが、私は、インドの独立支援もセイロン占領も、スエズ遠征を前提とした予定のうちに入れているのです。
メッセージ176ですでに、次のとおりに書いています。
「この一連の行動には、半球大の遠征路を前提としたセイロン攻略やインド独立運動への応援、そしてペルシャ湾への侵攻が含まれます。欧州の同盟軍と合流するまで補給を成り立たせるのは、可能性の大小に関わりなく、全力でやり遂げねばならないことでした」
イギリス本土を攻略しろとは一度も言いませんでした。
インドを独立させ、中東・北アフリカから英軍を駆逐すれば、それで大英帝国の生命線は断たれるからです。イギリスを連合国側から実質において脱落させること。それこそ、大日本帝国の陸海軍になしえる枢軸側への最良の貢献でしたが、その貢献がまさに不可欠とされる時だったのです。
ソ連への攻撃は必要ありません。
関東軍がシベリアに侵攻しても、スターリンは動じず、それはシベリア出兵の二の舞となっただけであろうと思われます。
せっかく中立条約によって休戦状態にあるのなら、わざわざ軍事的消耗の火種を増やすことはないのです。
英軍が近東から撤退し、赤軍に負担が増えた結果、カスピ海付近の工業地帯と油田がドイツの手に落ちれば、打撃を受けたスターリンは講和を申し出て、枢軸側にとっての時間稼ぎがもたらされる希望があったのです。
ソ連がなお継戦を望んだにせよ、枢軸側は敵側からもぎ取った莫大な資源を手にして立ち向かえるでしょう。
要するに、スエズ攻略が勝利の鍵となったはずと主張する根拠は、こうした、陸上のロンメル軍とコーカサス遠征軍、海上の連合艦隊とが協調することで成し遂げられた戦果により、大西洋の彼方から押し寄せつつある米軍への一正面防御体制の確立が可能となるからなのです。
それこそ、1942年の枢軸側によるすべての軍事行動が行き着くべき目標でした。
そこから先のことは、論題から外れることなので、取り扱うことはしません。
私は、繰り返して書きました。
「それで、日本も枢軸側も、勝てたとは言いません。そうする以外、日本帝国を生き残らせる望みが他になかったからですが、彼は逆に、太平洋で無益に海軍力を消耗することに固執してしまったのです。そういう戦い方を山本五十六は選びました。山本がおこなったのは、脳腫瘍の患者に一か八かの手術が必要なとき、胃の手術を繰り返すことでした(メッセージ194より)」
太平洋で戦い続けるか、スエズを攻めるか(しかも、あのタイミングで)の差は、自滅していくか、少ない可能性に迅速に賭けるかの違いでしかありません。
しかしそれは、ゼロになるか一から増やすかという、決定的な将来への選択となったものです。
スエズは遠いが、行く価値はある
太平洋はあまりに広く、ただ沈められるだけ
まさに、そういう状況でした!
そして山本提督は、ゼロになる道を選んだのです。
今後、反論をおこなう皆様方へ
こちらもスエズ攻略にだけ関わり合っていられる人間ではございませんので、疑問がおありなら、まず、「メッセージ174」からの過去の投稿に目を通し、説明の得られない点についてだけレスを入れてくださるよう願います。
私は、軍事学の専門家ではありません。そのうえ、あらゆる反論に合理的な反論で応じる専門教育を受けた者でもないからです。
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これは ヤフー掲示板で実際におこなわれた論争を再現したものです |