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守るも攻めるも、「まずドイツ」
投稿者: Manforstorm
2000年8月23日 午前 5時48分
メッセージ 2180
 Westpoint_1999さん。
 二次にわたるメッセージへの返信、感謝します。
 Westpoint_1999さんには、他所のトピックへの投稿からうかがえる博識ぶりに感服していますが、今回の返信では一箇所だけ、こちらが主張したことの意味を誤解なさっている部分がありましたので、訂正説明させていただくことをお許しください。



>「私から見て、Manforstormさんの議論の盲点に見えるのは、……( 中略 )……アメリカ海軍は連合艦隊が西方(西アジア、スエズ方面のこと)に出動すれば、必ずや西部大平洋で活発に活動し、その背後を脅かしたにちがいないと思われます」(メッセージ216より)


 これはみなさん、おっしゃいますね。
 でもご存知の通り、連合軍は「まずドイツを」たたきのめしてから日本に向けて戦力を集中させる予定でしたから、1942年の太平洋で対日作戦がおこなわれたとしても、それは国防圏を脅かすほど本格的なものとはならなかったはずです。
 それに私は、連合艦隊をドイツに嫁入りさせろと言ったわけではありません。
 あの1942年というタイミングで、精強な空母機動部隊による軍事活動を、独軍が米軍を一正面作戦で迎え撃つための準備行動、すなわちソ連を抑え、英国を骨抜きにする目的で挟撃作戦を進めていたコーカサス軍とロンメル軍の動きと協調させること、要するに「欧州要塞」の防備強化のため役立てるべきだったというのが投稿の主眼でした。

 ここを理解してくれない人があまりにも多い様子なのですが、これがドイツに利を得させるだけのタダ働きに終わるはずがありません。
 ドイツの迎撃態勢が整ったことは、米軍が攻勢を仕掛けてもすぐに屈服させられないことを意味します。
 ヨーロッパでの闘争が長期化し、米戦力がますます欧州に投入され疲弊していくなら、それは太平洋で十の海戦に勝利するより日本のためになることでした。
 ヴェトナム戦が見本ですが、米国とは、長期持久戦で疲弊に追いこんだ場合にのみ打ち負かせる相手です(山本は滞米経験もありながら、こうした相手に短期決戦を挑むという、戦術原則「汝の敵を知るべし」にもっとも背いた戦略を実現させようとしました)。
 アメリカとの講和があり得るとすれば、それは挽回可能な海軍力の損失ではなく、ヨーロッパ戦が長引いたことによる兵員補充の必要と厭戦気分の蔓延によってきっかけがもたらされるはずでした。
 枢軸側の世界戦略においてなによりも優先すべきは、欧州要塞の布陣を持久戦に耐えられるまでに増強させることだと主張してきたのは以上の根拠によるものです。

 その目的が成し遂げられれば里帰りしてかまわないわけですが、なぜかみなさん、スエズ侵攻で日本の水域守備から連合艦隊が永久になくなってしまうかのような反応を示す(私は、欧州要塞の強化に貢献できるなら、たとえ連合艦隊が遠征先で全滅しても日本の安全にとって最良の奉仕だったとさえ考えていますが)。
 実際には、日本海軍の精鋭が中部太平洋とソロモン諸島で無為に沈められた結果、まさに危惧される状況に陥ったわけですが、そこから戦局の帰趨があきらかとなり米軍の反攻が本格化したあとでさえ、日本は残存戦力だけで敵の東京進撃を二年半の歳月、食い止めたではありませんか(あれだけの拙劣な戦い方にもかかわらず)。
 1942年に連合艦隊が西に進んだあと即座に本土が敵軍に蹂躙されることだけはなかったと断言できるのです。


 これは ヤフー掲示板で実際におこなわれた論争を再現したものです