みなさん、書き込みありがとう(30〜34へのレス)
(邦画余話)




 邦画特集掲示板へおいでくださっての書き込み、まことにありがとうございます。
 以下は、ひらりさん、マルさん、ぴょんちさん、isomuraさん、そして小竹さん、以上五名の方々への当サイト管理人からのレスです。


 ひらりさん、再度の書き込みありがとう。
 先ほどのレスでは、あなたの投稿の主旨を取り違えたことをお詫びします。
 みんな、もっと映画を観なければというご意見には、まったく同感です。
 とにかく多くの映画体験を重ね、作品を見る目を養っていきましょう。


 マルさん、書き込みありがとう。
 白黒時代の邦画は時代的な限界があるとはいえ、リアリズム描写においてそれなりに納得のいくものでした。
 日本映画の演出はヌーベルバーグにかき乱されたまま、生理的表現の理にかなう手法をあみ出せず、以降の時代変化についていけなかったところがあります。
 なにが新しいか、なにがリアルか、なにが粋なのか……核心をつかんだ様子がなく、これは黒澤のカラー作品からホイチョイ・ムービーにまで一貫して流れる傾向です。
 かかる現実認識の曖昧ぶりに正しい尺度をもたらす、真に新しい人材の登場が待ち望まれます。


 ぴょんちさん、書き込みありがとう。

 ハリウッド映画を侮ったらいけません。
 ハリウッド映画を侮ったことは、邦画界没落の最大の理由となりました。
 ハリウッド映画を侮った日本の映画人は、もっとも重要なことを学びませんでした。

 たいした出来に思えなくてもお客を惹きつけるのは、ハリウッド映画に備わった、それ自体を生き物として在らしめる強い生命力のゆえなのです。


 isomuraさん、書き込みありがとう。
 金を揃えるだけなら角川にも徳間にもソニーにもできました。
 しかしさまざまな実例が示すとおり、日本の映画商人には、よそ様のマーケットに食い入ることが至難のようです。
 当サイト管理人の見立てによれば、日本映画が世界で売れない最大の理由は、海外の観客に媚びないためではありません。映画自体にハリウッド作品のような強い生命力を具備させることができないからです。
 金がなくても生きのいい映画は作れるはずだし、生きのいい映画さえ出せば、マーケットのほうで同調します。


 小竹さん、書き込みありがとう。
 日本の映画会社がアイドル・タレントに頼るのが、間違った商売のやり方とは言いきれません。
 今後、Jポップがさらにアジア諸国に浸透するなら、彼らの魅力を突破口として、Jアイドル主演作の全アジア配給が実現する可能性があるからです。もっとも、Jアイドルの突撃力はそこまででしょうけど。

「だれかの名前より映画そのものを大きくしたい。映画とはそれに参加しただれよりも大きい存在でなければならない」
 ローランド・エメリッヒの言葉です。
 邦画界がスター性やアイドル性の意味をはき違えているかぎり、真のカリスマ的日本映画の出現はあり得ない気がします。
 言葉の問題ですが、世界に通用するには必ずしも台詞が英語である必要はないと思います。
 ヨーロッパでは、他国語の作品をそれぞれの国語で吹き替えて封切るのは当然とされており、観客もそれほどの違和感は覚えないようです。
 むしろ、台詞がなくても万国の人にわからせる表現力をもった俳優や作家の養成こそ急務でしょうね。


 以上は、ひらりさん、マルさん、ぴょんちさん、isomuraさん、小竹さん、五名の方々への当サイト管理人によるレスでした。
 それ以降に投稿された方々(デニイロさん、おひさしぶりのTanu2さん、ぶるーさん、KANGOLさん、chihoさん)へのご返事は、申し訳ありませんが、いましばらくお待ち願いたいと思います。
 このような掲示板を主催しながら、複数の書き込みにすぐには対応できない管理者なので、そこはご容赦ください。