やりたくてたまらない
(邦画余話)




 小津安二郎の名は、大クロサワ以上に、日本映画のシンボルとして知れ渡ってますよね。
 あの人の映画って、いかにも、白井佳男が大絶賛、それからタモリが酷評しそうな雰囲気でしょう?
 そこで、思うんですが。
 「十三日の金曜日」みたいに超スプラッタなのを、小津映画のスタイルで演出したらどんなものかと。
 殺しの場面でも、カメラはじっと据えたまま、被害者と加害者との対面的な切り返しを多用して描く。人物の会話も、あの原節子や笠智衆の語り口そのもの。
「お父様、お隣りで殺しが」
「そんなノコギリ振り回すんじゃない。危ない、危ないよう」
 みたいな感じでね(笑)。
 笑える仕上がりになるだろうな。
 世界に通用するパロディの傑作にできるかもしれません。
 ぼくはそういうの、やりたくてたまらない。
 コケるだろうけど。