日本俳優の国際的商品性3
(邦画余話)




 自国映画に他国のスターを出演させ、国外市場へ出すための突破口とする。
 ヨーロッパでは、ごく当たり前におこなわれていることで、そうした作品は枚挙にいとまがない。

 「道」、「山猫」、「荒野の用心棒」、「ロシュフォールの恋人たち」、「ネレトバの戦い」、「哀しみのトリスターナ」、「1900年」、「薔薇の名前」、「セブン・イヤーズ・イン・チベット」……。

 海外から日本の人気俳優に出演依頼が来るときも、その国際的商品性を見こまれたのではなく、日本市場での収益を確保したいという下心からの場合が多いのだ。

 「グランプリ」、「素晴らしきヒコーキ野郎」、「五匹の軍隊」、「レッド・サン」や「ミッドウェイ」、「マルコ・ポーロ」、「ブラック・レイン」、キアヌ・リーブスが主演したSF系の一本、さらに「アイアン・イーグル」や「メジャーリーグ」の続編……そして、「ハルマゲドン」(笑)。
 また、西城秀樹や真田広之、金城武らが香港映画の主役に相次いでオファーされた事実からも、中華映画人の日本市場をターゲットとする、もろ出しの商魂が見て取れる( 中国人は、映画をつくらせても、やはり商売は日本人より上手だ )。

 そうした状況を日本のマスコミが、「世界の○○○、ついにハリウッド進出! あの大スターと共演!」と騒ぎたてるのはいつものことだが、現地へ行ってみれば歴然。
 一部のマニアを別として、普通の観客からは、「見たことある顔」くらいにしか意識されはしない(まあ、当然か)。
 この場合の「世界に認められた」とは、「日本に売り込む切り口としての商用性」を評価されたにすぎず、必ずしも、「世界での汎用性」を買われているのと違うのだから。

 自家輸入にとどまる興行力か、本当に世界で通用する看板なのか。
 日本の観衆には、オリンピック的な熱狂に染まらず、もっとクールな眼で日本人俳優の海外活動を捉えてもらえればと思う。