大別すると
(邦画余話)




 今現在、みなさんから出されたご意見を見わたしたかぎりでは――。
 目立つのが、原作もの、とくに「コミックの映画化を」という要望。
 それから、ニンジャやサムライを登場させ、派手なアクションや合戦を見せ場とする「時代劇」をつくれとの案。
 さらに、日本古来からの伝承や怪異、神話などを独特の手法で映像化し、外国人のエキゾチシズムに訴えようというもの。
 これらについては、さらに突っ込んで意見を出し合い、それぞれに企画性を具体化させていくことにしましょう。

 あと、少なくなかったのは、映画界はもちろん、畑違いの分野からも、世界に通用する才能を引っ張り出せというリクエスト。
 残念ながら、これは他力本願な発想だし、そもそも、ここでの企画とは関係ない(笑)。
 カリスマの才気に頼るなど、やる気のない映画会社が話題づくりにやるようなことに思えます。
 邦画界を救うのは、ひとりの天才ではありません。海外の観客も含め、無数の人々に上映館へ足を向けさせる魅力をもった映画を年に十本ほど量産することなのです。
 今の時況、ニ、三の天才が映画祭を賑わしても、邦画産業が息を吹き返すためなんの貢献もできません。彼らの天分にはせっかくですが、奥のほうに引っ込んでいてもらいましょう。
 重要なのは、的確な商眼と鍛えられた職人技とが一体となって、興行界を盛り立てることにあります。
 そのための牽引を、これまでは観せられるだけだった観客側で果たすべき頃合なのです。